8/30 2024公園管理運営会セミナー 「How to turn Cancel Culture into Dialog Culture:キャンセルカルチャーを対話型に変える方法」(オンライン開催・会員無料、会員外参加可)

2024公園管理運営会セミナー(予定)
「How to turn Cancel Culture into Dialog Culture:
キャンセルカルチャーを対話型に変える方法」

■目的、主旨

公園運営管理では、様々な市民からの意見や苦情が寄せられます。その中には、一方的な権利の主張や寛容でない意見なども見受けられます。SNS時代に入り「キャンセルカルチャー」と呼ばれる個人の意見が増幅するような現象も現れました。都市公園の運営ではどのように利用調整を行っていくかは、日常的な課題でもあり、現場のスタッフにとって非常に関心が高い事項です。

メキシコの公園(広域公園)では、SNS時代のコミュニケーションの洗礼を受けつつも、近隣住民との本来の対話をとおして、より安全で親しみのある公園にする取組が行われています。昨年10月に豪州アデレードで開催された世界都市公園会議WUP大会で発表され注目されました。今回、その発表者であるマルチネス氏にお願いして日本向けにプレゼンテーションを再編し講演いただきます。またこの講演は、お互いの文化を知ることで、多くの海外からの観光客をも受け入れる公園運営の手がかりにもなることと思います。

■講師

ルーベン・マルチネス氏 Rubén Martínez

メキシコ国サン・ペドロ公園 マーケテイング・コミュニケーションデレクター

■講演内容

アメリカ国境が近いメキシコ・サンペドロ市の公園(広域公園)におけるキャンセルカルチャーへの対応策は、苦情の原因と意見が出てきた背景などの現状把握から始まり、対応するスタッフ同士の協議・課題解決に向けた戦略の立て方や、市民との対話をとおして公園の運営を適正化する過程を解説していただきます。

■プログラム

1.講演内容の背景とエリアマネジメント 竹田西日本支部長(8分)

2.講演 ルーベン・マルチネス氏(67分) 字幕付き

3.公園管理運営の経験者によるディスカッション(25分)

「(仮)キャンセルカルチャーから見えてくる地域住民と公園の関係」

●福田久美子氏【株式会社美交工業 代表取締役副社長】
知的障がい者の雇用をきっかけに「人と環境とのつながりを大切にした 社会づくり」を理念として掲げ、事業活動を通じて障がい者、ホームレスなどの就労支援に取組む。新たにパークマネジメント事業を立ち上げ、2006年より大阪府営住吉公園、2010年より大阪府営久宝寺緑地、2018年より東大阪市有料公園施設および特定公園の指定管理者として公園管理に携わる。

●堀江典子氏【佛教大学社会学部教授】
(財)公園緑地管理財団飛鳥管理センター、(財)都市緑化基金、フリーランス、(一財)公園財団公園管理運営研究所などを経て、佛教大学社会学部公共政策学科教授。博士(都市科学)。仕事として公園管理等に係わりながら、一市民として公園での里山保全や環境教育活動、公園ボランティア団体事務局で資金集めの経験も。現在は教員として「公園で社会課題を考える」をテーマに学生の経験値向上に奮闘中。全国女性造園技術者の会会長。

●竹田和真氏【大阪産業大学デザイン工学部環境理工学科 准教授】
1996年建設省入省。国営公園等の整備と管理、街づくり、地域づくり、消費者行政に携わる。2008年大阪府公園協会入社。服部緑地や大泉緑地の指定管理者として社会や地域に役立つ公園づくりに取組む。造園コンサルタント会社の勤務を経て、2022年より現職。
専門分野:公園緑地の管理、講演経営・パークマネジメント、官民連携
担当科目:緑地マネジメント論、環境緑化入門

4.まとめ(閉会挨拶) 橘会長(5分)

■運営概要

主催:一般社団法人公園管理運営士会西日本支部

共催:一般社団法人公園管理運営士会国際委員会

後援:WUPジャパン、一般社団法人日本公園緑地協会、一般社団法人ランドスケープコンサルタンツ協会

時期:2024年8月30日(金)(19時~20時40分)

方式:Webセミナー

募集:Peatix(https://peatix.com/event/4068735

参加費:QPA会員無料、後援団体会員1,000円、一般2,000円

造園CPD:単位1.4

■Cancel Culture :キャンセルカルチャーについて補足説明

キャンセルカルチャーとは、著名人や企業など特定の人の発言や行動を糾弾し、ボイコットのような事を指します。SNS上でその人物や企業の「キャンセル」を叫び、切り捨てる行動からこのように呼ばれるようになったとされています。正当な抗議活動としての側面もありますが、SNSで情報を拡散するなどして激しく糾弾し、社会的地位を失わせる行き過ぎた事例も増えており、しばしば問題視されいます。元アメリカ大統領のバラク・オバマ氏は、ソーシャルメディアのキャンセルカルチャーに対して、「世の中のために良いことをしたと気分が良くなって、あとは傍観者を決め込むやり方で世の中を変えることなどできない。」と警告しています。(2020)

マルチネス氏の発表は、都市公園におけるキャンセルカルチャーの実態を示し、どのようにそれに対応し解決してきたかを紹介しています。

広域公園で行われた「映画鑑賞の夕べ」に対する周辺住民による、騒音や周辺の交通障害、夜間の治安悪化などに対する実態以上の懸念の広がりへの対応や、LGBT関連のイベントに対する一方的な反対、主体がつかみきれない運動に対する対応などの実例を示し、これらに対応するプロセスを解説してくださいます。まずは、周辺住民や社会全般の理解についての市場調査、課題の根源となった事象と意見の食い違いなどを分析し、次に内部スタッフとの協議、意思共有を行うプロセス、公園利用者や周辺住民との対話をとおしての懸念の払しょくや相互理解の機会創出など、段階的な具体的対処方法は参考になります。

日本においても、公園管理に関する様々な市民からの意見が寄せられる中で、一方的な権利の主張や、寛容のない意見なども見受けられます。このような意見や苦情に対して、どのように利用調整を行っていくかは、日常的な課題でもあり、現場のスタッフにとって非常に関心が高い事項です。メキシコの事例ではありますが、日本の公園運営管理における利用調整の課題解決の共有されるべきヒントが多く含まれていると思われます。